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移動映画館で「夢の種」をカンボジアへ!教来石小織さんインタビュー

P1050317今回ご紹介する方は、カンボジア農村部の子どもたちに映画を配達する活動を行っているNPO法人CATiC代表の教来石小織(きょうらいせき さおり)さんです。

今年2月に日本武道館で開催された社会起業家向けコンテスト「みんなの夢アワード5」では、観客からの圧倒的な支持を得て優勝
カンボジアでの映画上映を志したきっかけや、今年行った映画配達ツアーについてお話いただきました。11106407_884535828259598_1647964061_n

Q.30歳でプロジェクトを起こしたきっかけは?

P1050312派遣社員として事務員の仕事をしていたときに、「カンボジアに映画館をつくりたい」という言葉が降ってきたのがきっかけです(笑)。

仕事の傍らで脚本家を目指して10年近くもがいていました。30歳のとき、当時信頼していた方に「君には才能がないよ」と言われて夢を諦め、自分を見失いました。他にも住む家を失ったり、癌の精密検査のお知らせがきたりといろいろなことが重なってどん底に。毎日泣きながら暮らしていました。

そんな矢先、夢に向かって頑張っている女の子を見て号泣して。自分の夢は叶わなかったけど、夢に向かって頑張っている人を応援したいと思い、自分ができるささやかなことで具体的に応援し始めたんです。みんなが夢を叶えられる世の中になるといいなと思いました。夢がある人は応援する。夢がない人には夢のきっかけを贈りたいと思い始めたときに、舞い降りてきたのが「カンボジアに映画館をつくりたい」でした。思い起こせば10年前にも「途上国に映画館をつくりたい」と考えていた過去ともつながりました。

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カンボジアに行ったことはなかったので、まずはカンボジアに詳しそうな人に話を聞こうとメールを送り始めました。当時社会人勉強会を一緒に運営していた旅好きの男の子にも、カンボジアに行ったことがあるか聞いてみました。
メールの返信では行ったことがないとのことでしたが、後日勉強会のミーティングで会った時に、「カンボジアって何ですか?」とレストランの紙ナプキンに書いて聞いてくれたんです。「カンボジアに映画館を作りたいんです。映画で子どもに夢を届けたいんです。だから下見に行きたいんです」と書いて返したら「いい夢じゃないですか」と。彼が後に団体の副代表になります。
カンボジアに行くなら最初から上映しようと話が進み、実施日を決め、飛行機のチケットを買って、逃げられない状況を作るところから始めました。

母には大反対されました。30才過ぎて貯金もなくて、非正規社員で、おまけにバツイチ。そんな娘が今度はカンボジアに映画館をつくると言いだしたぞと。23才の時に結婚した元夫はフランス人のアニメーター。『となりのトトロ』を観て泣いているのを見たときに好きになりました。思えばその頃から映画を観ている人の顔を見るのが好きだったのかもしれません。5年ほど結婚していましたが、私の努力不足で文化の壁を越えられず、最終的には夫が「子どもは欲しくない」ということで別れました。

最初は「映画館」という箱を作ろうと「カンボジアに映画館をつくろう!」というプロジェクト名でスタートしました。始めてから、より多くの子どもに映画を届けるためには移動映画館が相応しいと、村の学校の教室や広場を映画館に変える形に。
初めて映画を観るという子もいるカンボジア農村部で、スクリーンを観ている子どもたちを見ることに幸せを感じています。母も今では一番の応援者になってくれています。

Q.カンボジア映画配達ツアーの様子は?

11358897_884535881592926_1792011945_n様々な世界を見せてくれる映画は、時に夢のきっかけを与えてくれることから、「映画を届けることは夢の種まきです」をキャッチフレーズにしています。そんな華やかな言葉とは裏腹に、映画配達は地味で疲れる仕事です。

ピックアップトラックやバンに揺られてデコボコ道を走り上映地へ。重い発電機を数人で運び出して、子どもたちが座って待っているプレッシャーの中で上映準備。スクリーンを真っ直ぐに張る工夫をしたり、プロジェクターをイタズラっ子から守ったり。ちなみに機械音痴の私は、メンバーが必死に上映準備をしている間、子どもたちにインタビューしたり、木にポスターを貼って宣伝する…という役割を担っていました(笑)。
そうして上映中は、暑い教室の中で息を潜め、子どもたちを見守る。それを各地で繰り返し、何度もクメール語吹替え版の同じ映画を観ることになります。

11421448_884536334926214_529575500_nただ、笑ったり泣いたり真剣な表情でスクリーンを見つめる子どもたちの顔ですべて報われるのです。

今年のゴールデンウィークに、第4回目のカンボジア映画配達ツアーが行われました。今回、私は初めてカンボジアに行くことができませんでした。メンバーの大学生の男の子がリーダーとなり、6人の日本人メンバーと現地日本語学校のカンボジア人の生徒さん3人で、8箇所の村を回って701人の子供たちに映画を届けてくれました。

11418272_884536601592854_341608961_n11421499_884536588259522_139506045_n団体では映画の上映の前後に、映画にまつわるワークショップを行っています。今回はサッカーの映画だったので、上映終了後、農村出身でプロサッカーチームのキャプテンになったティー選手のワークショップも開催されました。ティー選手が所属しているサッカーチームからサッカーボールを進呈していただき、映画配達人たちが帰ったあとも、子どもたちがサッカーの練習ができる環境をつくってきました。

そうした調整もセッティングも全て、大学3年生の子が行ってくれたんです。今回現地で頑張るメンバーからの報告を日本で受けているだけでしたが、リーダーとしてやり遂げた彼を見て、団体が大きく成長したことを感じました。

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Q.「みんなの夢アワード5」で優勝してから変わったことは?

11117920_884537078259473_228257882_n活動を始めたころは、どこに連絡してもだれに会っても、「カンボジアに…映画館を…」と話すと、だいたい気持ち悪がられていました(笑)。2年以上活動してきて、そして「みんなの夢アワード5」でグランプリをいただいたあとは、活動の説明がとてもしやすくなったと感じています。

夢アワード優勝の副賞は「最大2000万円分の支援」。恥ずかしながら当初寄付金と勘違いしていましたが、実際は経済的に持続可能な事業に対する出資か融資。私が至らず、まだ具体的な内容をご提案できていないのですが、すでに2000万円以上の価値をいただいたと思っています。今まで得ることのできなかった知名度と、メンバー始め無名の頃からご支援してくださっていた皆様に、多くの方に応援していただけるプロジェクトだと証明できたこと、何より自信をいただくことができました。
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Q.今後の夢は?

11421524_884535948259586_1387333444_nカンボジアに映画配達人を雇用して、カンボジア中の子どもたちに、定期的にたくさんの夢ある映画を届けるネットワークをつくること。他の途上国にも展開すること。そして途上国の子どもたちの夢を支援する仕組みをつくることです。

Q.30代、40代の女性に向けたメッセージをお願いします

P105029830代の始めの頃、周りが素敵な30代、40代の女性たちで溢れていることに気付きました。友人たちは皆、仕事も家庭も両立させながら頑張って、眩しく輝いていたのです。キャリアも家庭も築けていない自分が恥ずかしくなりました。脚本家の夢を諦めたあと、自分を全否定して、仕事も家事もバリバリできる完璧な人にならなくてはと思いました。生き方も思考も180度変えて完璧な自分になろうと試みたところ、体が悲鳴を上げました。仕方なく自分を受け入れました。そしてカンボジアに映画館の言葉をきっかけに、自分らしさ100%で走り出すことに。

私の人生は、恐らく世間一般から見たらまともとは言えません。欠陥だらけでコンプレックスでいっぱいですが、でも今ほど満たされているときはないのです。30代、40代の女性たちが多様な生き方をしている時代。もしかしたら私だけでなく、誰もが自分の歩んできた道について悩むときがあるかもしれません。でもたとえ完璧ではなくても、どうか自分らしい人生を。

 

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