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“写真”のリアルと抽象的な“個性”を1つの写真に融合。ローレフォト写真家・寅貝真知子

ローレフォトイメージ(1)

本当の自分を写す「ローレフォト」

3月26日産経新聞全国紙のヒト欄に取り上げられた写真家をご存知でしょうか。

幻想的な絵画のような写真を「ローレフォト」で話題の寅貝真知子さん。

彼女の表現する写真は、見る人を引き込み、それが本当の絵画であるかのような気持ちにさせる。

「一人の人間には、親として顔。仕事上での顔。子どもとしての顔。様々な側面があります。そのなかで、本当の自分を引き出し、その姿を表現したくて、それを追求した結果。自分にしかできない『ローレフォト』を考案しました。」

ローレフォトとは、フランス語の「役割」を持たせた造語。彼女が、ローレフォトを通して、役割を持つことになった写真の数々をご紹介したいと思います。

写真家・寅貝真知子

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寅貝さんは、写真館を営む両親のもと、大阪府に生を受け、日々、写真館を訪れる人や飾ってある写真を眺める。 そんな人生の節目を彩る父の背中をみて、少女時代を過ごしてきました。そんな多くの人に触れてきた影響だろうか、彼女は、カウンセラーを目指し、大学へ進 学。興味があるのは、「人」でした。

高校時代に演劇の経験をしたこともそのきっかけとなりました。

「私自身、自分への自信はないけれども、演劇という世界で役に没頭することで、新しい自分が表現できました。そんな経験から人に対する興味もわいてきたんです。」

ファインダー越しの新しい景色

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人に興味を持ち、カウンセラーを目指し大学に進学。その後、企業の人事部へと進み、人に関係する職業について寅貝さん。社会人2年目。そんな彼女の景色を文字通り、一変させる出来事がありました。

「社会人二年目の時に、父から一眼レフカメラをもらいました。当時は、マニュアルカメラ。写真を取ることは、素人でしたが、ファインダー越しの世界が、10倍ぐらい輝いて見えました。私は一変にその景色のとりこになったんです。」

それからというもの、毎日の通勤中に撮影する朝日の表情が違うこと。寮生活の中で、撮影する友人の表情が輝いて見えること。ファインダー越しの景色は、寅貝さんの心の風景も変えてしまいました。

そんな彼女が、趣味のカメラで終わらなかったエピソードがあります。

「あ るとき、東京出張に来た時、目的地に辿りつけず、道に迷っていました。恐る恐るある女性に道を尋ねると、彼女は、方向が違うのに、私を目的地まで案内して くれたんです。本当に嬉しかったのと同時に、帰りの電車の中で、ちょっとした出会いでも恩返しできる人になりたい。それが、カメラを通してならできるん じゃないか。」

写真家、寅貝真知子が生まれるきっかけは、恩返しの心からでした。そして、上司に相談しては、「考えなおせ」と言われること数回。自分でゼロから挑戦してみたいと、独立への道を歩むこととなります。

デジタル化の波。表現とは何か?写真とはなにか?

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寅貝さんが写真家を目指した時に、写真界には大きな変化がありました。それが、デジタル化の波。 これまでのフィルム写真ではなく、多くの人が気軽に写真をとれてしまう。そんな時代の変化がおこりました。

「一枚の写真の価値は何か」
「誰でも写真が取れる中で、一枚の写真でお金をいただく価値はなんだろう」

彼女だけではなく、多くの写真家がつきつけられた現実でもあります。

彼女がその時に立ち返ったのは、写真の原点。

写 真・カメラの原点は、1826年にフランスのニエプスという人が8時間もかけて1枚の写真をとったのが、写真の始まりとされています。1839年、フラン スのダゲールという人がダゲレオタイプ(銀板ぎんばん写真)について発表し、発売された「ジルー・ダゲレオタイプ・カメラ」が世界で初めて発売されたカメ ラです。

このことで、当時の画家たちには、衝撃が走りました。多くの画家が、肖像画を生業として生計を立てていたので、写真の登場により、 その地位が脅かされることになったんです。そんな中で、彼ら画家が選んだ道は、大きく分けると2つあったといいます。1つは、写真家への転身。これまでの 仕事で培った経験を活かし、写真の世界へ飛び込んでいきました。

そして、もうひとつは、写真では表現できない、アートとしての画家への転身。写真の登場以降、モダンアートに至るまで、この未知を選んだ画家たちは、抽象画を中心に多くの印象的な作品を残しています。

自分にしか表現できない写真

同じようなデジタル化の波による、時代変化に対して、寅貝さんが選んだのは、後者でした。写真家にしかできない表現をしていこうというもの。

展示会ー鼻歌のように優しく (1)(初写真展の様子)

 「とはいっても、はじめは試行錯誤の連続でした。最初の写真展では、映画のように、五感に訴える写真をつくろうと、写真の前で、その写真にあった音楽を流してみたり、様々な取り組みをしていました。」

こうした試行錯誤が、目の前のリアルを表現する“写真”と被写体の個性を表現する抽象的な“個性”を1つの写真に融合させることが、彼女にしかできない表現方法としてなっていきます。

「本 来写真は、相対的な美しさを表現するものではなく、自分自身を表現するものであると思うんです。ところが、多くの人が感じるのは、写真への苦手意識。どう しても、自分が写った写真を見て、嫌だなと感じてしまう人が多いんです。私は、そういった表現ではなく、その人が本源的に持っている表情や思いを表現して きたいと思いました。」

ローレフォトでの表現

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そこで誕生したのが、「ローレフォト」でした。

このローレフォトは、一枚一枚、依頼者に「その人がどんな表情をするのか、その人には、どういう背景があるのか。」とカウンセリングをして、信頼関係を構築した上で、撮影に入ります。

「その人の今を切り取るためには、相手を理解する必要があるんです。」

このことが、実は、大学時代に目指していたカウンセラーの経験や高校時代の演劇の経験が、凝縮されることになりました。

「人 は、多くの場合、誰かにわかってほしいという承認欲求を持っています。この気持は、大人になっても変わりません。しかし、その人の生活の役割の中で、わ かってほしいという気持ちは、どうしても抑えがちになってしまします。その気持を理解し、リラックスしてもらった上で、写真に表現することが、ローレフォ トの本来の意味だと思っています。」

「ローレフォトのローレは、フランス語で役割を示す造語です。一人の人が持つ様々な役割から、開放され ることで、本来の自分表現するきっかけづくりをしています。これまで、ローレフォトを撮影した方々からお手紙を頂くとき、その写真は、眼に入るところに 飾ってくれていることがほとんどです。私の写真が、その方にとってのかけがえのない一枚になってくれていることが、何よりの喜びとなっています。」

笑顔でそう話してくれた寅貝さんは、写真を通して、多くの方の内面を表現し続けています。

乳がんをきっかけに写真への価値観がかわる

エピソードの人 (3)

寅貝さんへの依頼がありました。きっかけは乳がんの手術とのことで、ヌードを撮りに来られました。

「今の自分だからこそ残せる写真をお願いしたい。」

寅貝さんは、その彼女と何時間もかけて、話しをすることにしました。残すことによって、未来への励みになるように。

撮影前のカウンセリングでは、写真が嫌いで、自分の過去の写真は全く見ない。写真にもあまり写るのが苦手。コンプレックスがネックになって、写真そのものが 少なくなってしまうのは、本当に勿体ないことです。カメラの前で、もっと自由に感情を表現できたら、もっと写真はその人にとって楽しく、面白いものになります。

そのきっかけとなる一枚になるように耳を傾けました。

この撮影後に彼女から送られてきた手紙にはこう綴ってありました。

「セミヌード写真を撮るという決心をするまでにかなり迷いましたが、出来上がった写真をみて撮って良かった。残せてよかった。と大変満足しております。自分の口元が嫌いで、いつもスナップ写真で一番に確認するのは口元でした。でも、今回のレッスンを受けてリラックスしてカメラに向かうことができるようになり、あまり口元も気にならなくなりました。これまでは自分の写り方が気にいらない写真はあまり見ないようにしていましたが、今ではどんな写り方をしている写真も何度も見直しています。変な顔やなぁ~と思う写真も楽しい時間を切り取ったものとして見ることが出来るようになりました。」

私は、写真嫌いの彼女が、写真撮影を楽しいと感じてもらえただけでなく、過去の写真についても、楽しかった思い出としてみたり、ありのままの自分の魅力をちゃんと受け止められるようになって、新たな価値観で写真本来の楽しさに気づいてもらえたことが、本当に嬉しかったです。

カメラの前でどうふるまったらいいのか、いつも同じ写真になってしまう、そういう人は多いと思います。カメラの前で、もっと自由に感情を表現できたら、もっと写真はその人にとって楽しく、面白いものになります。そのきっかけを少しでも多くの人にお伝えできたらと思っています。

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寄稿者について

株式会社日淺Ane会Times編集長日淺 光博
Ane会Timesの編集長をやっています。会食、イベント、仕事でのつながりを通して、3年間でのべ1,000名以上の女性とお会いしてきました。お会いした方々のエピソードもご紹介させて頂きます。
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