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「家事シェア」で帰りたい家庭をつくる|NPO法人tadaima!三木智有さん、藤井忍さん

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家庭にとっての一大事である家事。

あなたは家事を「家族事(かぞくごと)」として捉えられていますか?

今回はNPO法人tadaima!代表理事の三木智有さん、藤井忍さんにお話を伺いました。

 Q. tadaima!設立のきっかけは?

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(三木さん)
僕が仕事をする上で何よりも大切にしているのは「家庭での居心地のよさ」です。

その想いを実現するためにインテリアコーディネーターの仕事につきました。思い返せば子どもの頃。学校や友達とうまく関係を築くことができなかった僕にとって、唯一自分らしくいられる場所が家でした。

夢を叶え、インテリアコーディネーターとして独立。しかしお客様と接する中、結婚後の男性にとって、家での居場所は本当に居心地の良いものなのか。疑問を持つようになりました。自分の働き方に疑問を持つようになった矢先、リーマンショックのあおりも受け、これまで受けていた仕事が激減。

これからの進退を思い悩む中、NPOで働いていた妻と出会い、社会的な価値を出すことを仕事にする人達の存在を知りました。これはゼロからやり直すチャンスだと思い、tadaima!という名前だけを決めて団体を立ち上げました。

居心地のいい空間づくりとは何か、自分しかできない方法は何か、と探った結果、ものを買って家を整えることではなく、住まい手に向けたアプローチに至りました。家事・育児は家族の関係を作る上で大事である、という仮説のもとに100人へのヒアリングを敢行し、家事をシェアすることの大切さを団体の活動の中心に据えました。

Q. 家事の「分担」と「シェア」は違う?

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(三木さん)
分担とは、ある作業を「ご飯作りの担当は誰」のように機械的に振り分けることです。一方、シェアとは関係性を作ることです。家事シェアでは家事を共有し、家族事として捉えて妻や母に偏る家事のプレッシャーを家族で共有します。

「分担」では収入や家事の量といった表面的な公平を求めがちですが、単なる家事分担の割合よりも、夫婦の満足度や家族の関係性が一番大事だと考えます。

Q. 家事シェアの講座の内容は?

(三木さん)
家事のスキルの向上そのものよりも、家事を通じて家族とコミュニケーション取ることをお伝えしています。

いわば家事はコミュニケーションのツールです。

夫婦間での会話は共通点が多いほど盛り上がります。育児は期間が限られており、仕事の話を家庭に持ち込まない方も、家事ならば一緒に住んでいる限り一生続きます。ごはんを全く作らない人よりも、一緒に作るご夫婦の方が「この味付けどうだった?」、「今日のレシピいいね」と会話が増えますよね。

家事は「ありがとう」という言葉が生まれやすいアクションです。慣れると言わなくなりがちですが、家事シェアを意識することで、掃除、洗濯、ごはん作りなども当たり前ではなく、感謝の気持ちをお互いに伝えてもらいたい。

Q. 家事シェアのコツとは?

(三木さん)
家事は8割が掃除などにマイナスをゼロに戻す作業、残りの2割がDIYなどのプラスをつくり出す内容です。マイナスが少ないほど家事にかかる手間は減ります。

家事が苦手な男性は、家にいるだけで家事のマイナスを増やしていることが多い。例えば、洗濯物のポケットに物を入れっぱなしにして洗濯かごに出したり、飲んだペットボトルを片づけなかったり。

まず家事のマイナスを減らしましょう。トイレを汚したらすぐに掃除をすれば簡単ですし、次に入る人も快適です。帰宅して、家族が使うソファーの上にジャケットをポイッと投げちゃうと、誰かが片づけなければいけない。家事というよりも気遣いのレベルですが、家事の手間は大分省けることを知ってもらいたい。

Q. 日本の男性が家事をする時間が少ないのはなぜ?

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(三木さん)
これまで国は男性が外に働きに出て女性が家を守る、という働き方をもとに制度を作ってきました。そのため、女性は家で家事をし、子育てをするのが素敵な家庭、という一種のロールモデルが団塊の世代にはありました。今は女性の社会進出や男性の育児参加の要望から、男性も家事に関わろう、という風潮があります。

しかし、男性は頭では理解しても家事は大変だからやりたくない、体がついていかないのが現実です。また、女性は夫が忙しく働く中で家事を頼むことに引け目を感じたり、家事をしないと女性としての価値が揺らぐ、と考えたりします。

現在の30代、40代は家事に対する価値観の変わり目にいるのではないでしょうか。自分たちの子供世代がこれまでの価値観をどれだけ払拭できるかが今後の課題です。

Q. 従来の「女性が家事の担い手」という価値観はどのように影響していますか?

(三木さん)
結婚前にお付き合いをしている段階からパートナーの価値観は作られていきます。特に、お付き合い期にありがちな女子力アピールは、あまり過剰になり過ぎないほうがよいのです。例えば「彼が帰ってくるのに合わせて、彼の好きなご飯を毎日つくってあげる」「彼ったらお掃除苦手だから、わたしがやってあげなくちゃ」のような関係性がデフォルトになると危険です。

「わたしがやってあげないとこの人は何もできない」、「俺の彼女は何でもやってくれる最高の彼女だ!」なんて意識が芽生えると、結婚をしたからと言っていきなり価値観は変わりません。

そして、女性が子供を産むタイミングでその価値観が強化されます。女性は働いている場合は育児休暇で子供の面倒を見る期間が数か月ありますが、男性の場合は長期で休暇を取ることはまだまだ困難です。次第に家事や育児を一手に担うのは妻になり、男性はスキルの面で差がついてしまう。

男性は「おむつ替えは僕がやるよりも妻がやったほうがいいよね」「ミルク作らなくても母乳でいいでしょ」と家から遠のき、女性は「この人はおむつ替え一つできない」「ミルク作るのにモタモタしているし、自分でやったほうが早い」という結果になりがちです。

Q. 解決策はありますか?

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(三木さん)
シンプルに男性に任せることをおすすめします。ポイントは相手を頼りにすること。

女性は家事を委ねるときに、男性に家事をしてもらうことが目的になりがちです。普段自分が頑張っている家事を認めてもらいたい、という承認欲求が前面に出ると、家事にダメ出しをして男性のやる気をそいでしまいます。

委ねる時は自分の家事に対する基準をある程度下げることも大切です。どこまで手伝ってほしいのか、本当はどこまでやらないといけないのかを一度見直すことも必要です。

例えば、オーガニックな食材にこだわり、添加物に気をつけてごはんを作っているママさんが、いきなり料理を作ったことのないパパさんに同じように料理を作って、頼んでもハードルが高すぎます。その場合、料理をすべて委ねる、自分が料理をしている間に子供を公園に1時間位連れて行ってもらう、といった選択肢から自分にとって楽になるポイントを見定める必要があります。

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(藤井さん)
大学卒業後、家事代行の会社で働いた経験があります。30代、40代の女性たちは自分で思っているよりもずっと「家事は私がやらなくては」という意識が強いです。すでに家事を手伝ってもらっていて、これ以上は望めない、と思わずにもっと手放してもいいと思います。

私自身も「夫にちゃんとしたごはんを食べさせなければいけない」という意識を自分で抱え込んでいたことで夫婦げんかになりました。家族に対して「カチン!」と感じる瞬間があるのならば、それだけ家事や育児を頑張っている、手放してもいい、というサインかもしれません。

家事代行業者にアウトソーシングする場合も、まず家事が家族事としてシェアされていることが大切です。シェアされていないと、家事について見渡せる人に連絡窓口としての負担が集中したり、お子さまに「家事は自分がやることではない」と認識させてしまうことにもなりかねません。それは決して理想ではないはず。アウトソーシングの前には、家事について夫婦で、家族でじっくり話して考える機会を持つことをおすすめします。

Q. 今後の活動の展望は?

(三木さん)
子供向けの家事プロジェクトを進めています。これまでは男性に向けた夫婦での家事シェアを推進してきましたが、子供に家事を教えることがこれからのテーマです。家事の教育をする負担もママさんにいきがちですし、パパさんが関わる方がこどもに良い影響を与える、というデータもあります。パパさんを巻き込むことで、家事を教えるんだ、という気持ちが起こり、自分も家事をしようという家事シェアの流れができると思います。子供たちが家事を楽しみながら学べる場が身近にあるといいですね。

Q. Ane会Timesの読者に一言お願いします。

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(三木さん)
家事、育児を女性一人が背負い込むと、結果的に夫を家から追い出してしまうことを意識してほしい。

パパ向けに開いている講座でも「定年後に自分の居場所がない」「慣れない家事をしたら家族に怒られて参加した」というシニアの方が来られました。自分の夫が将来そうならないように、お互いに面倒であっても少しずつ家のことを委ねたらいかがでしょうか。20年後、30年後にきっと生きてくると思います。

今回お話しを伺った人

NPO法人「tadaima!」

父親と母親が共同で家事や育児を行い、母親も仕事と家庭の両立に不安になることなく働くことができる。笑顔で活き活きと生活する両親の姿を見せることで、子どもは大人になることへの夢を、膨らませていくのだと思います。

「ただいま!」って帰りたくなる家庭=家族が協力し合い、創る、居心地のいい家庭。

そんな家庭を増やす事がtadaima!のビジョンです。

今回お話を伺ったお二人の現在と人生をチャート化しました。

代表理事 三木 智有さんの幸福度チェック&人生チャート

三木さん1

三木さん3

藤井忍さんの幸福度チェック&人生チャート

藤井さん1

藤井さん2

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