株式会社三越伊勢丹でバイヤーを務める額田純嗣さんと、銀座木挽町の路地裏でバーを開くバーテンダーでありながら、ファッションブランドのプロデュースも手掛ける栗岩稔さんに[男目線のいい女]と題して、特別対談をしてもらいました。
47歳の栗岩さんと35歳額田さんの大人の男が好き勝手に、「いい女」について語っています。
接客業として、裕に10,000人を超える女性を見てきたお二人の人生経験から、「普段感じるいい女」「いい女の持っている要素」とか、「ファッション文化や日本文化」について多岐にわたる話題ばかり。
自分の生き方も考えるとても良い時間になりました。
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額田 純嗣(ヌカタ・ジュンジ)
早稲田大学卒業後、2002年(株)伊勢丹に入社、 2009年新宿店婦人服セールスマネージャー。
世 界一の売上高を誇る伊勢丹新宿本店の2013年3月に改装グラ ンドオープンでは本館2階の婦人服を担当。商売と店作り、 ブランディングを学ぶ。2014年より「三越伊勢丹ホールディングス」 の基幹店である新宿伊勢丹、日本橋三越、 銀座三越の婦人服バイヤーを務める。
共著に、『新世代トップランナーの戦いかた 僕たちはこうして仕事を面白くする』(NHK出版)。
栗岩稔(クリイワ・ミノル)
バー テンダーとして自分のバーを経営をしながら、洋服やカバンのプロデュース、販売をする異色の経歴を持つ方。それも、20代は、ファッション業界に身をお き、誰もが知るカバンブランドを仕掛け成功に導く。その後、バーテンダーに転身。現在は、「SENSO」「NAOKO」ブランドのプロデュースを手がけて いる。
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(聞き手:Ane会Times編集長 日淺光博)
日淺 早速ですが、上辺のところはとっぱらって話しましょう(笑)普段触れている「いい女」っていますか。
栗岩 私からいいですか。 (対談場所)の近くのお弁当屋さんのおばちゃんなんだけど、昼ごはんを買いにいくと、月曜日は「今週も頑張ってください。」金曜日に行くと、「1週間おつかれさまでした。」って声をかけてくれるんだよね。
額田 その時、その時でアレンジしてるんですか?
栗岩 そう。400円の安い価格の弁当なんだけど、例えば、太っている人には、大盛りを進めて、ヤセ型の人には、「少し量が多いかもしれませんよ」って、話しかけてくれるんだよね。これはほんとに素晴らしいですよ。
額田 アレンジって嬉しいですよね。
栗岩 常連さんだと、昨日のお弁当、肉でしたよね。って会話しているんだよね。
額田 パーソナル化ですね。
栗岩 だから最近、その言葉を聞きたくて、月曜日買いに行きますからね(笑)
額田 いくつぐらいの人ですか?
栗岩 俗に言うおばちゃんって呼ばれる年齢。たぶん、パートだと思うんだよね。
額田 そう。パートさんのほうが、意外にそうやってくれますよね。人生経験ですかね?
栗岩 人生経験だろうね。なにより、目の前の人をちゃんと見てるんだと思う。
額田 なんかやっぱり。お金儲けのために、やっているよりも働きがいを求めてやってるんだろうなと思うんですよね。
栗岩 そうだねぇ。
額田 そういうおばちゃんをみるとね。ほんとにステキな人生送っているだろうし、お子さんとかにもすごい愛情を注いでいるとおもうんですよ。
栗岩 ほんとに違う。キレイだよ。内面から出ている美しさ。たぶん、40代半ばぐらいだと思うんだよね。
額田 そんなにおばちゃんじゃないですね。
栗岩 でも、40代半ばは、おっちゃん、おばちゃんでしょ。むかし、自分が35歳の時に広辞苑で調べたんだけど、35歳からが、中年って言われる年齢なんだよね。
額田 でも、そういう言葉をかけられるって、気遣いですよね。僕もね。今、社内でいろんな仕事をやっているだけど。その中で、取引先の家具屋の女性がいるんですけど、簡単に言うと、生地を送ってあげると約束したんですけど、納品が遅れているんですよ。
栗岩 うん。
額田 家具屋さんも困っていて、そのために納期が間に合わなくて、職人さんとの調整とか大変だと思うんです。そんななかで、メールでやり取りをしている時に、「いろんなことをやりながら、私の1つのビジネスまで心を砕いて頂いてありがとうございます。」必ず、さりげなく一文を添えてくれるんですよ。しかも、毎回違う言い方で。
栗岩 そういう気遣いが嬉しいよね
額田 これって、毎回同じことをいっている「取り急ぎ、お礼まで」とかあるじゃないですか。これじゃなく、一個一個アレンジしていきながら、それをどう変えていくのか、この方なりに、心を砕いてくれているのが伝わりますよね。それも、すべてパーソナル化じゃないですか。
栗岩 すばらしい
額田 (その女性)若いのに、すごいなぁと思って。それも、人間性だなとおもうんですよね。そういう人に触れると、うちの会社からもっと仕事を増やしたいなんて思いますよね(笑)
栗岩 まさにパーソナル化だね。
額田 何気ない気遣いって、そういうところにでますよね。
栗岩 バーテンダー経験の中で言うと、ある時千円のお酒を1杯だけのんで、2千円おいて帰った女性がいて、「千円多いですよ」と伝えたら、「あなたの手に千円」でも、それっきり来なかった。
額田 そんなこと言う人いるんですね
栗岩 うん。その人は、また会いたいなぁ。
日淺 でも、今の言葉ってそうじゃないですか。男女関係なくって言えばそれまでなんですけど、「また会いたい」「また仕事がしたい」って、思われることって、「いい女」の条件ですよね。
額田 また会いたい人ね。確かにそうだよね。先週、行きつけのマッサージに行ってきたんですよ。担当してくれたのが、自分の母親よりも、年上の方だったんです。そこのマッサージ店では、自分の担当になったのが、その方は、2回目なんですけど。前回は、だいぶ前だったんですよ。
栗岩 うん。
額田 その人が、「あんたちょっと太ったね。だいぶ股関節が固くなってるね」と、おかんみたいに話しかけてくるんですよ。「でも、よく覚えてますねぇ」って、聞いたら、「あんたの福耳とね、手のここ(親指の付け根の部分)をみたらね只者じゃないと思っていたよ。」って言うんです。これほめ上手じゃないですか(笑)そのほめ方が具体的なわけですよ。
栗岩 確かにそうだね。
額田 「そこが、ふくよかな人は、お金が貯まるんだ。だから、私はインプットしてたわよ」って
一同 (笑)
額田 「お金持ってそうだから、60分じゃなくて、80分にしてもらおうと思ってたんだけどね」なんて、ユーモアもあるんですよね。「私も35年マッサージをしてきて、わかるんよ」なんて言うんですよね。そうやって、長年、経験を蓄積した人って、やっぱり輝いて見えますよね。しかも、ポシェットして可愛らしいんですよね(笑)
一同 (笑)
額田 さっきのパーソナル化の話じゃないですけど、自分に向けた言葉をかけてくれる人は、ステキですよね。
第2話 目を引いてしまう女性の姿とは・・・