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シェアで、日本を変える。シェアリングエコノミー伝道師に聞く、これからの時間活用術

自動車を共同利用するカーシェアリング、空き部屋を利用するAirbnbなど、シェアリングエコノミーのサービスが広がってきています。

(出典)PwC「The sharing economy – sizing the revenue opportunity」

今回は、シェアリングエコノミー業界の普及と発展を目的に設立された、シェアリングエコノミー協会の伝道師、蓑口恵美様に、協会の取り組み、ご自身のシェアリング経験、シェアリングエコノミー未体験の方へのメッセージをお伺いしました。

シェアリングエコノミー協会のコンセプトや活動内容について教えてください。

これまで、日本は先進国になるべく、大量生産、大量消費の欧米スタイルを追いかけてきました。しかし昨今、少子高齢化が進み、人々のライフスタイルが変化する中で、その大量生産・消費のライフスタイルが時代とあわなくなってきています。そこで、インターネットというツールを使って、人と人がつながること。シェアリングエコノミー協会は、昔から日本に根付く「分かち合う社会」を再構築し、経済を回すシェアリングエコノミーが、次の社会インフラになると信じて活動しています。さらに将来的には、個人が発信できるメディアになったり、口コミで広がるパワーを持つ、「個のエンパワーメント」をしていくことが、最終ミッションです。

2016年は、シェアリング元年として、国が抱える社会課題をどのようにシェアで解決できるかを考えてきました。具体的には、シェアリングエコノミーのすべてが分かる国内初カンファレンス【シェア経済サミット】を開催したり、内閣官房と共にシェアリングエコノミーの認証マークを作るなど、安心安全の取り組みを進めてきました。

シェアリングエコノミー認証マーク

2017年は、国や自治体が、シェアリングエコノミーの概念に注目されているにもかかわらず「現実は変わったのか?使う人は増えたのか?」という点にフォーカスしました。シェアすることに対して心理的ハードルが高い日本人に対して、「大丈夫だよ、使っても安全だよ」と、背中を押す役割を地方自治体に担ってほしいと考え、【シェアリングシティ】の取り組みを始めました。できる自治体から、地域に眠る遊休資産で音頭をとってシェアを広げ、無理なく無駄なく持続可能なまちづくりを推奨しています。

3年目に入る2018年は、サービスを使ったことがある人の「よかった」という体験を広げるために、発信に力を入れ、個人の利用促進を国と自治体と連携しながら図っていきたいと考えています。

私はシェアリングエコノミー伝道師として、日常の中でシェアを当たり前に使っています。

シェアに対する心理的ハードルが日本人は高い、とのことでしたが、なぜ欧米と比べて、日本ではハードルが高いと思われますか。

日本はまだ、信頼経済は法人と個人の関係で成立しています。内閣官房のリサーチでは、シェアリングのサービスをなぜ使わないのか、という問いに対し、「何となく不安だから」という理由は、日本では50%以上を占めるのに対し、アメリカでは約30%でした。

この仕事に就いたきっかけは?

私は富山県の南砺市の出身です。学生時代に地元で働くことも考えましたが、当時の私にとっては、仕事の選択肢が少ないという思いを持っていました。しかし、アメリカに留学した時に、ホストファミリーが、電話でニューヨークと会議をしているのを見て驚き、通信というインフラは同じなのに、なぜ日本ではできないのかと疑問を持ちました。時代も技術も追いついたのに、日本でできないのは、技術や会社のルールだけでなく、日本人の心情が大きな要因だと考えました。

このハードルに気づき、スキルシェアのLancersに4年前に就き、地域の働き方改革に自治体と協力して参画するようになりました。Lancersでは、地方の声を聞くことができ、国の動きが情報として入手できる協会とのダブルワークで、相乗効果が得られています。

協会に入った経緯は、Lancersのお仕事の延長で、農業・林業・水産業などの一次産業がメインの自治体でも、柔軟に自分らしく働きたい人がいること、チームを作れば皆さんが変わっていくのを見ていて、仕事のインフラを整備できたら、ライフシェア、Airbnbなどのシェアにつながりやすいとわかり、そういった仕事以外のインフラを地域に届けたい、そんな思いからです。

一次産業がメインの自治体では、どのようなニーズがあるのですか?

一次産業をされている方でも、繁忙期でないオフの期間があり、その期間をうまく活用したい人もいます。また、夫の転勤で移住してきて、過去の経歴を活かしたくても、地元でのコミュニティがなく、パートの仕事をしたいと考えている人もいらっしゃいます。育児介護のライフスタイルに合わせて、働き方を柔軟にしたい人もいます。地方の企業で働いていても、企業の業績が上がらないと収入増加にはつながらないため、副収入を得たい人もいます。

仕事の選択肢が少ない地域で、わたしたちは地元の人たちにインターネットを使って在宅で働く環境を教えてきました。その結果、自治体の予算に対比しても、受講生が稼げるようになったのは、とても嬉しい変化でした。

一人で働き方を変えるのは難しいですが、「あの人がやるなら私も」「わからないことがあった時に聞ける人がいる」というコミュニティがあれば、取り組みが前進することにも気が付きました。

シェアの事例をご紹介ください。

シェアリングエコノミーの領域

車や洋服などの価値があるモノのシェア、Airbnbに代表される空間のシェアはハードルが低く、使う人も増えています。お金を費やす価値がある、時間をかける価値が世の中から認識されているものは、マッチングしやすいです。

けれど、スキルシェアのマッチングが難しい。例えば、「電車の車種に詳しい」というスキル。私には、あまり価値を感じられなくても、玩具メーカーにいながら、新しく電車のおもちゃを作っている人にとっては、喉から手が出るほど欲しい情報です。こうした、誰に刺さるかわからない、無形資産のマッチングは、マーケティングも必要で、難しいです。

リアルマッチングが必要になるシェアサービスもハードルが高い人が多いです。例えば、家事代行や英語を教えるなどの、対面が必要になるものです。ただ、家事代行は、ワーカーさんの信用を家事代行サービス会社が保証することで、徐々に広がりをみせています。

やはり日本では、誰が登録しているかわからないようなものは、怖くて利用されないようです。「知らない人」と「危ない人」はイコールだと教えられてきたからだと思いますが、シェアサービスのワーカー選定やサービス受注についての判断はすべて自己責任。日本では、安心安全が企業に担保されるという文化で、海外のように個人間契約が根付いてはいません。文化の違いも、ハードルの高低に関連しているのではと考えられます。

シェアリングサービスの利用に対するハードルを乗り越え、どうしたらまだ利用したことのない人たちが、利用への一歩を踏み出せるか、悩んでいます。人口の10%が当たり前に使うようになると、その後は自然拡大するというデータがあるので、シェアリングサービスも使う人が国民の10%、市町村の10%になれば、自然拡大するのではと期待しています。

身近な人がシェアリングサービスを使っている、という口コミが一番、使い始めるきっかけになると思っています。利用者の声を、インターネットを通じた発信、リアルな会話から拡散して、利用に対するハードルが低い人から、背中を押していきたいですね。

「シェアすること」について、大人の女性へのメッセージをお願いします。

個が輝ける時代になってきています。あなたのスキルを求めている人は、世の中にたくさんいる、という景色をだれもが見られる時代です。

シェアサービスで、できるだけ多くの人にそんな経験をしていただきたいです。

そして、困っていることを、助けられる人も、たくさんいるので、時間を上手に活用していってほしいと思います。

シェアリングエコノミー伝道師 蓑口恵美様

一般社団法人シェアリングエコノミー協会

Written by

石田 映子
愛知県名古屋市生まれ。17年間IT企業でシステムエンジニア、プロジェクトリーダーとしてシステム開発に従事しながら、若手社員育成、女性社員のメンター、社内の女性活躍推進活動にも従事。
育児休暇取得後復帰し、社会人、母、妻、一人の女性としての生き方、あり方を追求し、それを実践すべく、ベンチャー企業に転職し、人の育成に携わる。もうすぐ6歳になる娘を持つワーキングマザー。

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